2013年11月29日金曜日

「BILLY BAT」と漫画家の使命

1122日、いい夫婦のゴロで結婚式や、夫婦のイベントにこの日を選ぶ人、あるいは企業が多いが、実はジョン・F・ケネディの命日。昔は、落合信彦さんの本を読んで、真相が明らかになるまでは死ぬわけにはいかない。なんて思ったものだが、今年は暗殺から50年目、さらに、娘のキャロラインさんが駐日大使になるなど、にわかに胸騒ぎがする。

日本で絶大な人気の漫画家の一人、浦沢直樹さん。パイナップルARMY』『MASTERキートン』がよかった。『20世紀少年』は途中で断念したけど、現在執筆中のBILLY BAT」は、このケネディ暗殺を扱っている。戦後、GHQ支配下の下山事件を扱ったかと思うと、戦国時代に話がとんだり、赤狩り、ケネディ暗殺犯オズワルド、公民権運動が広がりを見せる中でのアメリカ南部の最深部、冷戦、そして月・・・・・。物語はあちこち時空を飛ぶが、同じように、そこには、謎の巻物と不思議な蝙蝠も飛び回る。キリストとユダ、アインシュタイン、ヒトラー、白洲次郎・・・・。
内容は読んでいただくとして、この物語の主人公は、漫画家。表現者、芸術家とでもいおうか?社会に真実を伝える、問題を提起する、よりよい社会を作っていくのは、政治家やジャーナリストに限ったことではなく、漫画家だって・・・という気概が、この本にはある。手塚治虫の作品がちらと出たり、紙芝居屋から漫画家に転身する雑風先生。そして何かに突き動かされ筆を走らせる漫画家ケビン。
「マンガ」はクールジャパン流行の今、完全に市民権を得たが、浦沢直樹さんは、ここにきて「漫画家の使命」を問い直しているのかもしれない。誰かに操られる歴史。歴史は勝者が都合いいように作り変える。真実とフィクション。マンガというフィクションが持つ力とは?インスピレーション(あるいは啓示)とコウモリ・・・・。浦沢さん流の洒落たハートウォーミングな回もあるけど、開くページごとに、「漫画家の使命」「フィクションの持つ力」を浦沢さん自らに問いつづけているのだ?と考えながら読んでいる。


某ネズミのキャラの商売をチクリとするところもフィクションの力の一つかも。相手の力は巨大すぎるけど。

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