2013年11月14日木曜日

ヒューマンコメディ「素敵な金縛り」

三谷監督の「清州会議」が週末封切り。相乗効果を狙って、土曜日の夜に、恒例のごとく監督の過去作品をTVでやってた。
「素敵な金縛り」劇場でもレンタルでも見ていないので、初めて見た。
被告人のアリバイを証明するため、裁判の証人として、事件当夜、被告人を金縛りに合わせた落ち武者の幽霊を引っ張りまわすという、へんちくりんな話。
ビリーワイルダー、ニールサイモンを敬愛する監督。今回は、これも監督の愛するフランクキャプラ監督の映画「スミス都に行く」に出てくる、「ヤンキー・ドゥー・ドゥル」という民謡、日本人には「アルプス一万尺」で知られている曲が、最後に効いてくる話だ。
西田敏行の落ち武者ぶりも、おもしろいが、最後はきれいなヒューマンコメディにまとめてくるところは、観てて安心。
このヒューマンコメディという単語、日本では、森重久弥さん、フランキー堺さん、寅さんあたりの映画に使うのだろうか?
そのものずばり『人間喜劇』というタイトルの小説がある。劇作家ウィリアムサローヤンの作品だ。アルメニアという国の移民で、のちに劇作家として成功するサローヤンが書いた小説。昔人に勧められて読んだ。面白かった。少年ホーマーを中心に街に起こる小さな、そしてその人にとっては大きすぎる出来事が静かにつづられている。やがてそれは自分の身内にも・・・・。『人間喜劇』は戦場の描写はないけど、戦争の悲劇が書かれている。ただ、それを乗り越える人間の希望という、わずかだが力強い営みも描かれている。冒頭だったか、最後だったか、故郷に帰るであろう黒人の若者が、貨物列車から手を振るシーンは、今でもなぜか映像で残っている。
「ヒューマンコメディ」は、社会への批判もある。三谷監督もこの映画の中で「死んだ人間が法廷に出れば真実が明らかになる」と、冤罪の多い、検察の有罪率の異常に高い日本の司法に、くぎを刺すことも忘れていない。

さあ、TV局の思惑通り、「清州会議」観に行っちゃおうかな。

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