2014年10月10日金曜日

「優れた仕事に優れた道具 職人とノーベル賞」

テレビ東京の番組に「和風総本家」というのがある。

時々「世界の中のメイドインジャパン」として、世界中の技術者や職人が愛用している日本製の部品や道具作りの職人技を紹介している。

昨晩は、カナダのトーテムポール作りの職人が愛用する兵庫三木の「鍛造刃物」、フランスのモザイク作家が愛用する愛知岡崎「トンカチ」、元YAMAHAの職人がつくるクラリネットのリガチャ、イタリアのバイオリンの修復師が愛用する新潟長岡の小さく薄い鋸が紹介された。

最近多い、日本文化の自画自賛バラエティとは違い、職人の誠実な仕事に目を向けるこの番組は見ていて小気味いい。
同じ管楽器SAXを趣味とする私にしてみると、リガチャという部品一つで、音色が違うなんて全くの驚きだった。
さらに、この番組は芸術家や優れた仕事をする人と、その人が使う小さな道具にスポットを当て、尚且つ、作り手と使い手の作業をVTRで見せ合うという念の入った演出がしてあって心憎いのである。優れた仕事には優れた道具があるのだ。


 今はちょうど、ノーベル賞のシーズン。今年の物理学賞には日本人3人が受賞した。
不可能と言われていた青色発光ダイオードを発明し、今や照明のみならず、情報通信や映像などあらゆる応用技術が世の中に革新をもたらした。
ニュースではこの「応用科学」に寄与した「基礎科学」を築いた3名を賞賛していた。


 兵庫三田は大工、愛知岡崎は石工で有名な町、そういう町だからこそ、刃物やトンカチも優れた道具がある。
科学技術も、優れた「基礎科学」があってこそ「応用科学」が育つのだ。


 私たち映像の仕事で言うと、映像の技術は、日々進歩している。DVDからハイビジョン、今度は4K、8Kの時代だ。
基礎となる映像技術は進んでいる。あとは使う私たちが、もっと優れた仕事をしていかなくてはいけない。
 ノーベル賞受賞者と名も無き町工場の職人を交互に見ながら、秋の夜にあれこれ思う。


0 件のコメント:

コメントを投稿